京都にも雪が降り積もりました。
暦も文字通り一年で最も寒い日。
この日の朝に汲む水は一年腐ることがないとされ、酒や味噌などの仕込みにも適した時期と言われています。

冬籠の気持ちになる頃の澄んだ空気、冴えた夜空。
枕草子にも「星はすばる…」と綴られています。
防寒をして夜空を眺めてみてはいかがでしょうか。

あたたかな日で始まった新年。
立春を迎えるまでの冬の最終章がはじまります。
寒風、降る雪……。
その中でも木々は花を咲かす準備をしています。

「真理似寒梅　敢侵風雪開」（新島襄）

平成28年がみのりある年になりますように。

一陽来復。
明日から少しずつ日が長くなることから、太陽が生まれ変わる日とも言われているそうです。
今年も残すところあとわずか。名残惜しくも暮れゆく「未年」。
南瓜や柚子湯で無病息災を願いながら、明くる「申年」の用意が本格的に始まります。

月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也（奥の細道）

庭を眺めると、木々は雪を持ち、松の緑がそっと顔をのぞかせています。
山の動物たちや大地の草花は、春へ向けての充電期間。
これから始まる深い雪の季節。
「雪は豊年の瑞」といわれ、多く雪が降ると豊作になるそうです。
大雪を過ぎると１３日は「事始め」。正月の準備が始まりますね。

輝きながら舞い降りる「初雪」。
雪月花と謳われるように自然の美を代表する、純白で儚い雪の季節が始まります。
雪は花にたとえることも多く、「六花」「風花」「寒花」「天花」「雪花」「不香の花」など。

雪降れば冬ごもりせる草も木も春に知られぬはなぞ咲きける（紀貫之）

雪が深くなるにつれ、春への思いも強くなるのでしょうか。

冷たい雨、木枯らし、舞う雪……。
これから寒さへ向おうとする季節の中で、何かを思い出したかのように訪れる暖かな日。
昼下がりの光の中で眠気にも誘われてしまう、冬のはじめの穏やかなひと時をお菓子にしました。
「小春日」はアメリカでは「インディアン・サマー」、ドイツでは「老婦人の夏」と言われるそうです。

漢詩・山行の一節「霜葉紅於二月花」。

「霜にうたれて紅葉した葉は、二月の桃の花より赤々としている」と訳されます。

またこの詩は「初々しい美しさと、月日を重ねた魅力」を詠んでいるとも……。

キラキラと葉っぱの周りを輝かせる照葉。朝の冷たい空気も爽やかに感じられます。

朝晩は冷え込みますが、日中はとても過ごしやすい頃。

半袖では少し肌寒いので上着を一枚羽織って出掛けると……秋の幸を多く目にします。

栗や芋、ぎんなんや柿、松茸など、山づとと秋の夜長の一献もこの時季の楽しみのひとつでしょう。

月よみの　光を待ちて帰りませ　山路は栗の　いがの多きに（良寛）

秋分の日、西陣では晴明神社の「晴明祭」、大宮今出川辺近辺で「千両ケ辻文化祭」が行われます。

晴明祭の神幸祭は少年鼓笛隊を先頭に鉾、八乙女や稚児、そして神輿…500名程が巡行し、西陣の町は多くの人で賑わいます。

晴明神社の社紋は晴明桔梗といわれるそうです。境内には多くの桔梗が咲いています。

朝の庭に白い霧。夜明け前の冷たい空気が秋を呼んでいるようです。

そろそろ日の短さも感じる頃、清少納言は「秋は夕暮れ　夕日のさして…」と黄昏の雁の姿を綴っています。
「初雁」は百合根で雁を表現し、生地には葛・蕨粉と黒糖を使用した秋の薄暮を想う御菓子です。

これからは空が高くなり、清んだ空が爽やかに秋を楽しませてくれそうです。

夏の暑さも終わる頃と言われていますが、日中の暑さはしばらく続きそうです。しかし朝夕の涼風の中、萩や桔梗を目にすると秋の始まりを感じます。

秋来ぬと目にはさやかに見えねども　風の音にぞおどろかれぬる

（古今和歌集で詠まれています。今日と時季は少しズレているかもしれませんが…）

※初見草は萩の別称です。